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  2013.3.25追加技術情報 「TRANSEM と他方式の比較」PDF版
  技術解説

この技術解説の目的  SEM・TEM と異なる原理へのご理解


 TRANSEM 技術は「SEMを使いながらSEMの性能を超える透過観察」ができます。これは「

SEMを使いながらSEMと異なる原理」を実現したからです。この「異なる原理」は「どの教科書にも書いていない初めての原理」であるので、ご理解をいただくことは時として困難です。科学的に精密な解明と論証は努力しておりますが、それとは別に概念的な例えも使ってご理解をいただくのがこの解説の目的です。

 

顕微鏡の分解能  光から電子へ

 

 ご承知のように顕微鏡の歴史は光学顕微鏡から始まりました。微細な観察への要求は分解能の飽くなき要求とその為の光学系の性能向上に向けられました。しかし、光学顕微鏡には越えられない壁がありました。波長です。「分解能は原理的に波長の約半分で決定され、それより細かいものは見ることができない」(E.アッベ  ドイツ、1878年)という制約があるからです。

光の波長は 700〜400nm で、分解能限界は200nm前後です。そこで、これより短波長のX線( 10〜0.001 nm )を使うX線顕微鏡に期待されましたが、X線光学系の性能向上に限界があり、実用分解能が光と同程度(〜200nm)に留まっています。そこで、波動性を併せ持ち、その波長が1〜0.001n m にも達する電子顕微鏡が実用化され多用されています。        

 

生物顕微鏡観察の特殊事情  大気圧・液中・透過・非破壊・軽元素への要求


生物科学の分野でも、より精細・精密な研究への要求から電子顕微鏡の利用拡大が続いています。しかし、半導体産業のように電子顕微鏡万能の状態にはなかなかなりません。生物科学特有の事情があるからです。それが、「大気圧下」・「液中」・「透過」・「非破壊」という条件で、「水と大差ない軽元素系の有機体」を「高分解能」で観察したいという当然の要求です。しかしこれらは電子顕微鏡の原理と相いれない項目で、要求に応えることは困難があります。

                          

対応する様々な技術と限界 

 

  これら制約を解消しよう、軽減しようとする様々な技術が開発され、順次製品化されています。


  • 「大気圧SEM」 耐圧膜を通して大気圧下の、液中サンプルを観察する

  • 「低圧SEM」  液体の蒸発を抑えた状態の生物を見る

  • 「STEM」  SEM で反射と共に条件によっては透過観察も併用する

  •  「TEM」 凍結・極薄スライス(〜200nm)した試料に超高圧電子線を透過させて見る

  •  「イオン液体」 真空中で蒸発しない導電性液体の併用


 しかし、これらの改良技術も原理は従来の電子顕微鏡と同じですから、大きな飛躍がある訳ではありません。「基本的には加速電子による反射観察をするSEM、わずかな透過を利用した透過観察TEM (極薄〜200nm)」と同じ範疇です。

 

「透過性」の実現   TEMの解決法とTRANSEMの解決法


 上述の「様々な要求」の内、「透過性」だけに焦点を当てた解決法が透過電子顕微鏡(TEM)です。超高加速電圧による超高エネルギー電子を使って透過性を上げる為、逆に他の要求の実現は更に困難になっています。
即ち、


  • 高エネルギー電子による試料の「破壊」が避けられず、これは諦めて染色・固定化で対応しています。

  • 高エネルギー電子では水分子と「軽元素系の有機体の弁別」が難しく、そのままではコントラストが付かないので染色などに頼っています

  • 「大気圧下」では高エネルギー・高分解能を保ち難く、これらも犠牲となっています。

  • 透過するのは極薄(〜200nm)で、高度の試料スライス技術を要し、その為の凍結が必要です。この為「水中」という要求からかなり遠ざかっています。


  様々な開発努力に関わらず、「透過性」を得る為に超高エネルギー電子線を使うTEM ではそれ以外の要求を満たすことは事実上できていません。


それに対して、TRANSEMは他の要求に対応しつつ「透過性」を実現する為に、「低エネルギー電子線」用いながら「透過性」を実現しました(後述)。

 

      

「非破壊」・「軽元素弁別」の実現  
 

 低エネルギー電子線の実現で低エネルギー電子線は単に「加速電圧を下げれば良い」というレベルでは実現しません。実は、「高分解能」を得るにはある程度の高真空・高加速電圧が必要です。電子線の制御の為です。必然的に高エネルギー電子線になります。加速電圧を下げただけでは分解能がどんどん下がるだけで、未だ上記のような「非破壊」・「軽元素の弁別」は実用的には実現できないのです。


そこでTRANSEMでは、SEMの高加速電圧による「高分解能」維持しつつ、高エネルギー電子線を低エネルギー電子線に変換する、というTEMとは「逆転の発想」を採用しました。SEMの高エネルギーの1次電子線を特殊な「変換膜」に当て、低エネルギーの2次電子線を発生させます。1次電子線を変換膜で遮断して、2次電子線のみを試料に当てます。これにより、「非破壊」・「軽元素の弁別」が可能となりました。染色や固定化の煩雑な手順で煩わせずにコントラストのよい観察ができます。                  

 

図1. TRANSEMの構造と作動

2次電子検出器が側方に設備されている場合も

誘引バイアス電界によって透過電子を捕捉します。

  

TRANSEM の「透過性」実現   内部加速電界の印加


低エネルギーの2次電子線は透過力がありません。超高エネルギー1次電子線のTEMですら200nmの透過力です。2次電子では数nm の範囲で内部吸収されてしまいます。

 

 

        図2. SEMの1次電子の試料内飛翔 (モンテカルロシミュレーション)
             1次・2次電子共、試料を突き抜けて透過しません

 

そこでTRANSEMが採用したのが「内部加速電界の印加」です。試料領域を透過する方向の電界をかけます。従来SEMの真空中には電子線加速の電界がありますが、この電界は数十〜数百kV/m 程度です。それに対し、TRANSEMで印加する内部加速電界は100V/数μ(=数万kV/m) と見積もられます。SEMの100倍の強電界です。この電界によって、2次電子は試料内部を「トンネル効果」「ホッピング効果(有機半導体モデル)」「電子雪崩現象(気体)」など物質と電界によって異なる様々な現象によって飛翔します。これにより、TRANSEM では低エネルギー電子線ながら数μに及ぶ透過性が実現しました。詳しくは「技術」欄の「文献」を参照ください。

この電界は、外部印加電圧によっても実現されますが、TRNSEMでは1次電子/2次電子の帯電による内部空間電荷を利用しています。変換膜がSEM真空領域の加速電界と試料を電界的に遮断しているので試料領域に独立の電界領域が形成できるのです。

 

       

  図3.TRANSEM の内部電界による2次電子の飛翔と透過(イメージ図)

 

「水中」・「大気圧」観察の実現
   

  「透過性」により液体内観察が可能に数μに及ぶ透過性により、水中・油中の細胞・ウィルス・ナノ粒子の内部観察・分散状態の観察が可能となりました。また、変換膜に耐圧性を持たせることで耐圧カプセルを真空室に入れることができ、バイオなどの試料を生態に近い状態で観察することができます。

 

「高分解能」の実現
   

  試料内等方拡散ではない従来のSEM やTEMでは、試料内に侵入した1次電子や内部発生の2次電子は上述の弱い電界中を等方的に散乱しました。その為、反射であれ透過であれ試料を出た時点で分解能がかなり劣化していました(大気圧SEMなど)。TEMでは試料を極薄にすることでその劣化を回避しています。

一方、TRANSEMではSEMの高分解能1次電子を変換膜に当てて2次電子(高分解能点光源)に変え、試料中を強い電界で一方向(下方)に飛翔させるので、拡散(横方向)を最小限に抑えられますから、分解能の劣化も抑えられ、あるいはTEMのように極薄にしなくとも実用レベルの分解能が得られます。

 

多分野への応用拡大  生物観察だけでない適用分野


  これまで、生物分野の特殊要求項目を中心に説明しましたが、これらが実現してみると、当然ながらTRANSEMを適用できる分野は広く存在します。特に、従来できなかったり煩雑な手間がかかった「液体中の観察」は「バイオ」のみならず「塗料」・「化粧品」・「薬品」など幅広い材料工学分野で活用が期待されます。

 
以上 

 

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